ワールド・インターネット・プロジェクトは、UCLAのジェフリー・コール教授らが、当時普及初期段階にあったインターネットが、近い将来テレビと同じくらい一般家庭に普及し、巨大な社会的影響を及ぼすとの予想を立て、テレビ時代には実現しなかった国際共同研究を実現させようと、世界各国の研究者に呼びかけたことから始まりました。
この呼びかけに応じて、日本でも1999年のクアラルンプールでの「カルチュラルエコロジーに関する国際会議」でメンバーの一人、三上がWIPへの参加を表明、通信研究機構の全面的な協力を得て、2000年4月から国際共通設問を中心とする国際比較の全国全国調査を開始しました。当初の研究メンバーは、次の通りです。
- 三上俊治 (東洋大学教授)代表
- 吉井博明(東京経済大学教授)
- 橋元良明(東京大学教授)
- 遠藤 薫(東京工業大学助教授)
- 石井健一(筑波大学講師)
- 久保田文人(通信総合研究所)
コンピューターおよびインターネットは、現在、世界的規模で急速に普及しつつあり、近い将来、現在のテレビと同じように、ほとんどの家庭で日常的に利用されるようになると予測されている。我が国におけるインターネットの普及率は現在のところ2 割強であるが、携帯電話経由のインターネット接続を含めるとすでにxxxに達していると推定される。これまで人類が手にした他のどのメディアよりも速いペースで一般家庭に普及しつつあるインターネットが、テレビに匹敵する常用メディアになるに伴い、人々の情報行動、ライフスタイル、価値観をはじめとして、わが国の社会、経済、政治、文化システム全体が大きな影響を受けるものと予想される。もちろんこのような変化は、インターネット先進国、途上国ともに起こっているグローバルな現象である。
このような人類社会に対する多様な変化が、この5年ほどの間に急速に進行するであろうことはもはや疑うものがない。しかしながらこれまでのところ、インターネットの普及とそれに伴う社会的影響に関して、全国レベルでの精度の高い学術的調査研究は行われていない。しかも、これはいますぐ行わなければ2度と実施できない調査研究である。折から、米国のUCLAで創始され、シンガポール、イタリアがすでに加わ り、5年以内に25カ国以上が参加予定の「ワールド・インターネット・プロジェクト」(World Internet Project)が、世界的規模でのインターネット利用調査を実施し、 インターネットの長期的な普及過程を追跡するとともに、インターネットの普及が家庭生活および社会システムのさまざまな領域に与える中長期的影響や情報通信技術の発展との相関関係を探ろうとしている。
そこで通信総合研究所では東京大学社会情報研究所と共同で研究グループを組織し、インターネットの利用動向に関し全国規模の学術的な調査を実施することとした。本 報告書はその初年度である2000年秋の時点での調査結果である。今後5年間程度は定 期的に調査を継続し、わが国のインターネット利用がどのようにダイナミックな変化 を遂げるかを明らかにしていきたいと念願している。
2001年1月
総務省通信総合研究所
通信システム部統合通信網研究室長
久保田文人
本研究は、全国規模でインターネット産業や利用状況、利用頻度、利用者の属性などに
関する実態を分析することにより、インターネット産業や利用者の動向を把握し、調和の
ある技術開発の方向を明らかにすることを目的として実施したものである。
本調査研究は、アメリカの UCLA が中心となり、世界十数カ国と共同で2000年か
ら開始した ワールド・インターネット・プロジェクト(World Internet Project) の一環と
して実施するものであり、今後5年間にわたる継続的パネル調査研究をめざしている。本
報告書は、その第一年度の成果報告である。
- マスメディアへの接触について
- 情報機器の所有について
- 情報別のメディア利用について
- 携帯電話やPHSの利用について
- パソコンの利用について
- インターネットの利用について
- 電子メールやその他のインターネット利用について
- インターネットの影響について
- インターネット社会観について
- 価値観、文化行動について
- 母集団 全国12歳以上74歳以下の者
- 標本数 3,500人
- 抽出方法 層化二段無作為抽出法
平成12年10月26日〜11月12日
調査員による訪問留め置き式回収法。
社団法人 新情報センター
有効回収数(率) 2,555人(73%)
調査不能数(率) 945人(27%)